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編集部より 盛況でした! 三宅島の自然シンポジウム

2006/12/05 20:18  天気:快晴 気温:11~15 度

12月2日(土)、東京大学の農学部で、三宅島自然研究グループ主催の公開シンポジウム「三宅島2000年噴火後の陸上生態系の変化」が開催され、参加してきました。


2000年夏の火山活動の開始から早6年。今回のシンポジウムの演者の方々は、雄山の噴火開始から現在まで、三宅島の噴火の自然への影響を継続して研究されている方たちです。

シンポジウムの発表で扱われているテーマは、「衛星から見た噴火後の植生被害の変化」、「噴火後の植生の自然回復」、「土砂流出と緑化」、「噴火の鳥類への影響と回復」、「イタチの食性の変化」、「昆虫への変化」、「生物間相互作用」と多岐にわたります。

衛星から見た三宅島の植生の変化のスライドはなんといっても迫力満点でした。噴火直後に植生への被害が大きかったのは雄山の東、北東、南東、南西斜面で、噴火後には被害は少なかったものの、徐々に北や北西、西斜面で被害が進行したことがわかってきました。

植生調査からは、着生植物であるランの仲間などで減少が著しいこと、タブノキ、オオバヤシャブシが減少していること。ヒサカキが火山ガスに強く残っていること、ユノミネシダやハチジョウススキ、オオシマカンスゲなどの増加が著しいことが報告されました。特にユノミネシダは、和歌山県の「湯の峰」で見つかったことで、その名がついているシダですが、2000年噴火以前にはほとんど見つからなかったのに、現在島の東部を中心に広く分布しています。火山ガスに強いシダといえるのですが、その生態や生理は謎が多いそうです。

土壌の侵食や土砂流出が標高の高いところではまだ進んでおり、それを防ぐために自生種を中心にしたさまざまな緑化試験が進められているのですが、自然の回復力が旺盛な地域では、自然の力に任せるべきであるといった意見も出されました。自然の回復過程を見るために、その様子を手つかずで観察できるエリアも設定されているそうです。

野鳥は、噴火後間もなくには極端に少なくなっていた時期もありましたが、その後、種類数や密度がほぼ回復しているといううれしい報告もありました。一方で、枯れ木が増えたことで、幼虫が木を食べる一部の昆虫では通常では考えられないくらいの密度に増えたり、三宅島初記録の昆虫が見つかるなどの発見もあったそうです。また、島内に移入され鳥類などに影響を及ぼしているイタチの食性についても報告があり、噴火の被害が大きいほど、餌となる生物相が単純化しているためか、イタチの食べているものも単純化しているというとのお話でした。

生物間相互作用の研究では、ヤブツバキとメジロの関係性への噴火の影響についてが報告されました。噴火というかく乱によって、ヤブツバキには負の影響があるのですが、開花している花の密度が低下することで、メジロが花粉を媒介する効率を上昇させ、結果的には受粉する割合や花粉の遺伝的な多様性が増えることにつながるというとても興味深い報告がされました。

会場には、大学生や一般、以前三宅島に住まれていた方やこのシンポジウムを聴講するために出かけてこられた島内の方などを含めて総勢100人ほど。皆さん、演者の報告に熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

最後の「総合討論」では、島の復興の現状とエコツーリズム定着に向けてのアカコッコ館の取り組みの紹介のほか、会場の方からのご意見を聞いたり、演者の研究の今後の方向性、緑化事業のことなどについてが話し合われました。
また、生態系の持っている機能が、噴火というイベントによって、ある現象が顕著になっていること、そして生態系の機能の一部が失われたことで見えてきたものがあることなど、研究のおもしろさ、醍醐味の話もありました。

三宅島は自然の大規模な実験場であり、噴火直後から始まったこうした総合的な研究を長期にわたって継続する必要があることも確認されました。


特色があり、かけがえのない自然が息づく三宅島。しかし、島であるがゆえに脆弱さを伴い、一瞬にして失われやすい側面も併せ持っています。この自然を後世に伝えていくためには、日頃からのたゆまぬ保全への取り組みがとても大事です。
このシンポジウムをきっかけに、一人でも多くの方が三宅島の自然の貴重さに関心を持っていただき、島の自然が持つダイナミズムや再生の様子を肌で感じに足を運んでくださればと思います。

シンポジウムの準備や運営をされた方々、大変おつかれさまでした。次回はぜひ三宅島で開催できると良いですね。
(アカコッコ館・山本)

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